研究課題/領域番号 |
02807189
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研究機関 | 東日本学園大学 |
研究代表者 |
渡部 茂 東日本学園大学, 歯学部, 助教授 (60113049)
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研究分担者 |
五十嵐 清治 東日本学園大学, 歯学部, 教授 (20001943)
河野 英司 東日本学園大学, 歯学部, 助手 (90195115)
今井 香 東日本学園大学, 歯学部, 助手 (10213208)
大西 峰子 東日本大学園大学, 歯学部, 助手 (80184795)
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キーワード | 食物 / 咀嚼時間 / 食塊 / 水分量 / 唾液分泌量 / 一口量 / 小児 |
研究概要 |
5歳児の小児を対象に、食物咀嚼と唾液分泌量に関する研究を計画し、今年度は(1)食物の咀嚼刺激によって分泌される唾液量、(2)食物の水分量と咀嚼時間について実験を行った。 6種類(クッキ-、タクアン、ソ-セ-ジ、ポテト、リンゴ、ライス)の食物を通常通り咀嚼させて分泌された唾液量は、クッキ-が最も多く(4.7±2.5ml/min)、ライスが最も少なかった(2.4±1.2ml/min)。6種類の平均は3.6±0.7ml/minであった。実験はchwing spit法により行ったが、実験中に生じる誤差、すなわち food lost(食物を吐き出した後、口腔内に残存する食渣量)は平均13.7± 6.4%であった。従って実際の分泌量はこれらの値よりも若干多いものと考えられる。また成人の値(Watanabe,1988)に比較するとライス、リンゴで約75%に相当していた。この実験の再現性については、変動係数を調べた結果、食物の一口量およびその咀嚼時間は、被験者間で大きく差が認められたものの、個人では比較的一定していることが示された。咀嚼時間については、これらの食物の1g当りの咀嚼時間は、食物の水分量との間に負の相関が認められた。すなわち水分の少ないクッキ-(4.1%)で最も長く、水分量の多いマッシュポテト(78.1%)で最も短かかった。嚥下時の食塊の水分量を測定した結果、最も少ないクッキ-で約50%、最も多いタクアンで約88%と食物の間にかなりの幅がみられた。これらのことから食物の水分量は唾液分泌や咀嚼時間に大きく影響を与えていることが示唆された。しかし、嚥下時の食塊が含む水分量に幅が認められたことから食塊の水分量は嚥下の時期に少なからず影響を与えてはいるものの、決定的な因子とは言えず、これについては他の因子も考慮する必要があると思われた。
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