研究概要 |
高等植物二次代謝の制御機構を分子レベルで理解するためには,二次代謝産物の生合成酵素遺伝子のクロ-ニングと植物へ再導入する実験が不可欠である.本研究担当者は植物二次代謝のモデル系として,非タンパク性βー置換アラニン類生合成の鍵酵素であるcysteine合成酵素(CSーase)についてその発現制御のDNAレベルでの解明を目的として,本酵素の内部アミノ酸配列の決定を行いcDNAクロ-ニングを進めている. ホウレンソウ(Spinacia oleracea)の新鮮葉には,二種類のCSaseA,Bが存在する.これらは,それぞれ可溶性画分およびクロロプラストに存在している.そこでCSase A,BそれぞれSDSーPAGE上均一なバンドにまで精製したが両isoenzymeともNー末端が保護されており,直接アミノ酸配列を決定できなかった.そこで,V8プロテア-ゼにより分解されたフラグメントのNー末端のアミノ酸配列を気相シ-クエンサ-によって決定した.現在までにCSase Aの4つのフラグメントのシ-クエンスを部分的に決定した.その結果,2つのフラグメントについてサルモネラ菌,大腸菌のCSaseと最大72%のホモロジ-のある領域を同定できた.現在アミノ酸配列から予想される合成オリゴヌクレオチドを用いて,PCR法等によりcDNAのクロ-ニングを進めている. また,マメ科植物に特有なキノリチジンアルカロイドの代謝酵素の活性を無細胞系で確認し,現在本酵素活性の精製を検討している.
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