研究実施計画に従い、以下の研究成果を得た。 1.脱感作PGE_1受容体とそれと会合するGTP結合タンパク質の延製: ^3HーPGE_1で標識した細胞膜を6%ジギトニンで可溶化し、その遠心上清をゲル濾過(ウルトロゲルAcA44)することにより、GTP結合タンパク質と会合するPGE_1受容体(分子量約350kDa)を得た。更に、この会合体をWGAアガロ-ス、フェニルセファロ-スCLー4B及びヘパリンアガロ-スを用いて順次精製した。会合体であることは、糖鎖がないGTP結合タンパク質が受容体と共にWGAアガロ-スに吸着し、Nーアセチルグルコサミンで溶出されたことからも支持された。各精製ステップにおける ^3HーPGE_1結合量と ^<35>SーGTPγS結合活性量の比は、最終精製標品において1:3.5であった。 2.脱感作PGE_1受容体と会合するGTP結合タンパク質の諸性質の検討:上記で得た精製会合体をGTPの誘導体5ーpーフルオロスルホニルベンゾイルグアノシンでアフィニティ-ラベルを行うと、SDSーPAGEのオ-トフルオログラフィ-上、分子量約60kDaのGTP結合タンパク質と会合していることが確認できた。この会合体中のGTP結合タンパク質は、毒素によりADPーリボシル化されないこと、GTPを特異的に結合するが、GTPにより結合 ^3HーPGE_1の親和性は変化しないなど、いくつかの点で従来認められているリガンド結合受容体・Gタンパク質(DGP)会合体とは異なるもので、脱感作受容体の一存在様式と考えられる。 3.今後の研究の展開:上述の現象の生理的意義を明らかにするため、cAMP生成反応における本GTP結合タンパク質の作用を検討する。
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