研究課題/領域番号 |
02807202
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八浪 公夫 京都大学, 薬学部, 助手 (30191141)
|
研究分担者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
|
キーワード | プロスタサイクリン / プロスタグランジンE / 脱感作 / 受容体 / GTP結合タンパク質 / GTP / 癌化肥満細胞 |
研究概要 |
研究実施計画に従い、以下の研究成果を得た。 1.プロスタサイクリン受容体結合と脱感作:受容体結合:PGE_1受容体でみられた特異的な脱感作現象が、プロスタサイクリン受容体においても認められるか否かを調べるため、癌化肥満細胞のプロスタサイクリン受容体の諸性質を検討した。プロスタサイクリンは、非常に不安定であるので、まずその誘導体であるイロプロストやTEIー9063、TEIー1324に対する[ ^3H]イロプロスト、[ ^3H]PGE_2結合とcAMP生成反応に対する効果を検討した。誘導体のPGE_2受容体に対する親和性は、3者ともPGE_2のそれの約1/1000であったが、イロプロスト結合の親和性は、TEIー9063>イロプロスト>>TEIー1324の順であった。cAMP生成反応においてもその作用は、イロプロスト結合の親和性と全く一致した。また、トロンビンによる細胞内Ca^<2+>濃度の増大作用に対しても、これらの誘導体は阻害効果を示し、その作用もTEIー9063>イロプロスト>>TEIー1324であった。TEIー9063は、プロスタサイクリンよりもはるかに安定で、後者は、37℃20分の処理で殆どcAMP生成能を失うのに対し、前者は、37℃60分の処理後でも全く活性に変化はなかった。以上の結果より、TEIー9063は、作用と安定性の点で、イロプロストに勝るプロスタサイクリン誘導体であると言える。 プロスタサイクリン受容体とGTP結合タンパン質とのカップリングと脱感作:癌化肥満細胞のプロスタサイクリン受容体は、分子量45kDaと42kDaのコレラ毒素感受性GTP結合タンパク質(Gs)と会合していることが判った。イロプロスト処理により、両者のGsは細胞膜から細胞質に移行することが判明し、新たな脱感作機構の存在が示唆された。 2.脱感作PGE_1受容体の精製 脱感作PGE_1受容体と分子量60kDaのGTP結合タンパク質との会合体の安定化のため、DSPを用いて架橋を試みたが、会合体の大量精製までには至らなかった。
|