抗ILー1α自己抗体の免疫学的特性を調べた。正常人でも約5%、慢性関節リウマチ(RA)では約15%と正常人の3倍の頻度でこの抗体が検出され、しかも疾患活動性に平行して抗体価が変動することが示された。この結果は、正常人でも一定の割合で、高い抗体価の抗ILー1α抗体をもつこと、またRAでおそらく関節病変で産生されたILー1αに対する免疫応答の結果、抗体価の上昇をもたらすものと考えられた。また抗体のILー1αに対する親和性はきわめて高く、Kdが10^<ー11>1/M程度と自己抗体としてはこれまでの報告には見られない程高いことがわかった。しかも、IgM抗体が検出されないこと、また抗体価と中和活性の関係から大部分の抗ILー1α抗体はILー1α分子の限局された部分がエピト-プになっていることが示唆され、自己抗体として抗ILー1α抗体はきわめて特異な部類に属することが判明した。従って、この抗体の産生機序を明らかにすることは重要であると考え、以下のアプロ-チを行なった。まず、抗体の親和性の高さから考えて、ILー1α自身が抗原として作用している可能性が高いと判断された。次に、この抗体の遺伝子レベルでの解析を行なうため、EBーvirusトランスフォ-ムB細胞とヘテロハイブリド-マの細胞融合によるモノクロ-ナル抗体の作成を試みたが、現在まで数十回行い、まだ成功していない。また、この自己抗体が正常人の一定の割合で検出されることから、免疫遺伝的制御の可能性があり、現在アロタイプにリンクした免疫応答遺伝子との関連を調べているが、結論はまだ得られていない。一方、ILー6に対する自己抗体が新たに見いだされた。この抗体は強皮症、特に限局型強皮症との関係が強く、正常人での陽性率2%に対し、約42%にこの抗体が検出された。しかもこの抗体は抗ILー1α抗体と異なり中和活性は僅かで、むしろ血清中でのILー6の担体として働いている可能性が示唆された。
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