研究概要 |
腎血行動態に影響を及ぼす因子として種々のオ-タコイドが知られている。本研究ではProstaglandinの関与を研究するためにまずProstaglandin cyclooxygenase系のinhibitorであるIndomethacinの効果を検討した。Indomethacin前処理したラットにLithospermic acid B Mg塩(LSA)を投与した場合、LSA単独で認められたRPF,RBF,GFRの亢進作用は完全に抑制された。このことから腎機能に対してProstaglandinが関与していることが示唆された。 次にLSA投与後の尿中Prostaglandin E_2(PGE_2),6ーketoーprostaーglandin F_<1α>(6ーKetoーPGF_<1α>)並びにThromboxane B_2(TXB_2)を測定した。アデニン投与6日目のラットにLSAを単回腹腔内投与した結果、PGE_2,6ーKetoーPGF_<1α>はいずれも有意に増加したが、TXB_2には変化を認めなかった。 さらにLSAの作用機序にKallikreinが関与しているか否かを知るためにKallikerinのinhibitorであるAprotininの効果を検討した。Apーrotinin前処理したラットにLSAを単回腹腔内投与した結果、LSA単独投与で認められた腎機能亢進作用は完全に抑制された。 次にKininase II inhibitorであるCaptoprilを前処理したラットにLSAを単回腹腔内投与した結果、尿中PGE_2はLSA単独投与群よりさらに高い値を示し、Captoprilによる増強作用が認められた。この際、Captopril単独投与群では増加傾向が認められた。 以上、LSAの作用はKallikrein inhibitorであるAprotininにより抑制され、またKinin分解酵素inhibitorであるCaptoprilにより増強されることから、LSAはKallikreinーkinin系を介して作用する結果が得られた。
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