研究課題/領域番号 |
02807214
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
内藤 幸雄 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (10076052)
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研究分担者 |
水谷 隆治 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (30080188)
鈴木 郁功 鈴鹿高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (90080209)
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キーワード | ラットシスタチンS / シスタチンス-パ-ファミリ- / 顎下腺 / タンパク誘導 / タンパク分解酵素阻害物質 / 細胞増殖 / 顎下腺唾液タンパク |
研究概要 |
我々が発見したラット唾液腺シスタチンS(RCS)は、シスタチンス-パ-ファミリ-2型に分類されるシステインプロテア-ゼ阻害物質である。そこで各種システインプロテア-ゼに対するRCSの阻害特性を明らかにするため、阻害形式、50%阻害濃度の測定を行った。シスタチンス-パ-ファミリ-に分類されるタンパク性阻害物質のpH及び熱安定性は高いと報告されているので、RCSの熱及びpH安定性を検討した。RCSはパパイン、フィシンを強く阻害した。反応速度の逆数と基質(BenzoylーDLーarginineーpーnitroanilide)の逆数をプロットするLineweaverーBurk及び反応速度の逆数とRCSの濃度をプロットするDixonの式で解析した結果、その阻害形式は拮抗的であると考えられた。パパイン、フィシン及びブロメラインに対する50%阻害濃度は各々、2.1μg/ml、7.1μg/ml、>42.7μg/mlと測定された。この阻害物質はカテプシンB、カリクレインに対して阻害活性を示さなかった。RCS分子内の2箇所のSーS結合を還元剤で開裂後、モノヨ-ド酢酸でSーカルボキシルメチル化すると、阻害活性は殆ど消失した。即ち、RCS分子内の2箇所のSーS結合は阻害活性発現に必須であることが明らかとなった。パパインとRCSの結合モル比は、複合体架橋物のSDSーPAGEの成績から、1と結論した。 RCSのpH及び熱安定性を測定した結果、そのパパイン阻害活性はpH1〜12の範囲での処理(37℃、1時間)で殆ど低下しなかった。また、熱に対しても安定で、100℃で5分間(pH3〜10)処理ではまったく失活せず、pH7の溶液中では100℃で1時間の加熱処理でも50%以上の阻害活性が残存していた。しかしながら、同条件でpH3及び10の溶液中で処理すると、阻害活性は10%前後に低下した。
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