研究概要 |
核家族の子産み子育てに関する横断的調査で、妊娠後期から産後1年半の夫婦1,110名から回答が得られた。核家族世帯が83%を占め、平均年齢は、妻が29.7歳、夫が32.6歳であった。67%の夫婦が集合住宅に住み、夫の職業は会社員が70%で、妻は専業主婦が82%であった。居住年数1年未満者が妊娠後期に28%みられ、夫婦共に地域活動への参加が低く、妊娠や育児に対する不安を持っていた。親役割取得では、全体的に妻が夫に比して高い得点を得ているが、妻は妊娠期から時間の経過と共に低下し、産後1年半が最低であった。夫は妊娠後期が最高で、産後1ヶ月で最低になり、その後また上昇するジグザグ型を示していた。妻の主たるソーシャルサポート者は、各時期共に、夫、実母、姑であった。夫からは、妊娠前と妊娠中の手段的サポートと、産後の情緒的サポートが十分に得られず、夫から得られないサポートは、実母や姑に求め、出産育児についての学習は友人に求める傾向がみられた。既存の公的、公的外のサポートはそれぞれの特性を活かして、生活に密着したサポートを行う努力をしているが、組織や地域の中で限局して、ネットワーク化されていない現状である。これからは地域の市町村や保健センターが基地になり、行政や民間のそれぞれの活動を掌握して、地域内のサポートを組織化していく取り組みが必要である。核家族の子産み子育てのサポートシステムの形成要件として、(1)ベビーシッターの育成、(2)託児所や保育所の充実、(3)夫の育児休暇と育児時間取得の義務化への提言、(4)夫の地域参加の促進、(5)夫の育児疲れへの対応、(6)民間の自主活動グループの育成、(7)地域におけるサポートのシステム化の7つの具体策をあげた。
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