研究概要 |
平成2年4月に行われた健康保険制度の改訂によって,在宅人工呼吸管理に関する医療管理料の支給が認められるようになった。在宅で人工呼吸器を用いて療養する患者も今後の増加が予測される。人工呼吸器や呼吸障害が著しい患者では発声困難な状態やコミュニケ-ション手段を欠く場合もあり,さらに意識状態が極度に低い場合さえある。このような在宅患者に対して、呼吸状態を確保しつつ,安全に看護するために、患者に侵襲が少なくかつ客観的に患者の状態を把握できる方法を見つけることは大切な在宅看護課題である。そこで経皮的に末梢血液中の酸素ガス飽和度測定器を用いて、患者の状態をモニタ-しつつ、看護を行うことを試みた。「結果」在宅療養中の4例において、試行を試みた。A例:筋萎縮性側索硬化症、男性、45歳。人工呼吸器装着8年。B例:筋萎縮性側索硬化症、女性、50歳。人工呼吸器装着3年。C例:神経ベ-チェット、男性、50歳。気管切開、無呼吸発作頻回、意識レベルが低く、呼びかけに応じない。1.経皮的酸素飽和度測定器の試用について従来は呼吸観察、顔面の表情や末梢のチアノ-ゼを観察しながら、吸引や全身清拭を行っていたが、モニタ-を実施し、観察が客観化され,警報音が鳴ることにより,看護を安心して行えるようになった。しかし,長時間モニタ-は患者の皮膚に発赤や腫脹が生じることがあったこと,測定器の置き場などに今後の課題があった。2.人工呼吸器患者モニタ-では,従来,洗髪時の気道の確保に不安を抱いていたが、酸素飽和度は98%前後を維持できていることや呼吸器をはずした際には、即飽和度は90%を下回るが、再装着後1分以内には従前の値に戻ることが明らかになった。
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