研究概要 |
我々はNODマウスの胸腺細胞膜抗原を認識する単クローン抗体p120を作製した。この抗体は非糖尿病でNODの姉妹系統マウスILIの抗原は認識しなかった。1.この抗原は膜通過抗原であるが抗体の認識部位はセルソータを用いた実験より細胞外になく、ウエスタンブロットや凍結切片の蛍光染色より抗原のフレームワークを認識していない。そのためかNODの胸腺細胞よりλgtllcDNAライブラリーを作製し、抗p120抗体でスクリーニングしたが陽性クローンは得られなかった。2.in vivoの抗p120注射実験からは抗原エピトープが膜上細胞外にないこともあって、Insulitis(Insと略す)とp120抗原との関係を結論づけられなかった。(平成3年)そこで唯一のアッセイ法、^<125>I標識、抗p120抗体による免疫沈降、SDS-PAGEでp120を定量し、F1をNODに戻し交配させると5ヵ月令で雄,雌ともに約50%のマウスでInsが発生する事が判っているので、これらマウス個体のInsとp120抗原量の関係を調べた。22匹のうち、Ins、p120共に陽性は9匹、共に陰性は6匹で、Ins陽性、p120陰性及びIns陰性、p120陽性の組み替え体は、それぞれ3匹、4匹であった。このことはp120がIns遺伝子産物でないことを示している。3.他の純系マウス株の胸腺細胞を調べるとB6、B10、C3HでもNODの60%から80%量のp120が発現していた。4.サブトラクテッドλgt10ライブラリーは作製できなかった。
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