研究課題/領域番号 |
02807227
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
加計 正文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90214270)
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研究分担者 |
田中 弘允 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80041292)
矢田 俊彦 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60166527)
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キーワード | 膵β細胞 / Caチャンネル / インスリン分泌 / イオンチャンネル / バッケクランプ |
研究概要 |
平成三年度は以下の実験を行ない下記に述べる結果を得た。膵β細胞のCaチャンネルは他の組織で言われているようにdihydropyridine系薬物に感受性があった。チャンネルは1μMのBAY K 8644により著明に活性化される。このように薬物により活性化された状態でも細胞外グルコ-ス濃度を増加させるとチャンネルの活動度の上昇がみられた。Caチャンネルの開口時間の分布は単一指数関数で表されその時定数は0.2msであった。この時定数はグルコ-ス濃度の増加によって影響受けなかった。さらにチャンネル閉鎖時間の分布は2つの時定数により表現されるがそれらは0.82msと18.9msであった(グルコ-ス5.6mM)。グルコ-ス濃度を22.3mMへ増加させるとこれらの時定数はそれぞれ0.9msと5.05msであった。従ってグルコ-ス代謝はCaチャンネルの遅い閉鎖現象に影響を与えていることが示唆された。以上より総括すると膵β細胞のCaチャンネルは電位依存性であるがグルコ-ス代謝によりCaチャンネルの活動度は影響を受け活性化されると結論される。ここでどのような代謝が関与しているかについては現在実験を遂行中であるが、代謝阻害剤(CNやmannoheptulose)の存在下においてはグルコ-ス適用によりチャンネルの活性化が見られないことよりエネルギ-代謝、特にミトコンドリアでの代謝が重要な役割を果たしていることが示唆された。最も可能性の高いものとしてはATPが考えられる。これらの結果は第33回日本糖尿病学会において報告した。さらにこれらの一部は医学のあゆみ(156巻13号841ー845、1991年)に発表した。
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