研究概要 |
バルク高温超電導体の応用として、ス-パ-トロン(バルク高温超伝導体レンズ)を4年前に提案して以来、その実証と動物機構の解明に努めてきた。本研究では、ビスマス系とタリウム系超伝導体のテ-パ-付き円箇レンズを試作して、その電子ビ-ム集束性能を実験的に調べた。更に、その結果を性能指数によって評価した。使用した電子ビ-ムは340keV,1KA,10nsの相対論的電子ビ-ムである。 (1)電子ビ-ムの集束性能は臨界温度の高い材料ほど高い値を示した。 即ち、ビスマス系(臨界温度120K)が最高性能を示し、ついでビスマス系(115K)、イットリウム系(92K)の順であった。 (2)上記の結果の得られた理由は、レンズの動作温度(液体窒素で冷却、85ー90K)に対して超伝導となる温度マ-ジンの大きい材料が、より高い臨界遮蔽電流値を有するものと思われる。 (3)タリウム系材料は有毒であるので、総合的に考えてビスマス系が最も適した材料であろう。 (4)本研究では粉体をプレスしたバルク材を使用している。最近、新しい材料(例えば、急冷溶融法によるQMG材料)が開発されているので、それらも今後検討する予定である。 (5)ス-パ-トロンの動作は、ダスト・コア(フェライトなど)と同様に、微粒子内の遮蔽電流が有効であろうと我々は考えている。上記(4)の実験をすることによって、本モデルの妥当性が明らかになると期待している。
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