ポスト・モダンの家政学のために衣食住にかかわる生活文化の粋ともいうべき茶道の研究を行った。茶道が衣食住の根底に置いた思想を理解するために茶道にかかわる禅と利休の研究を行なった。 禅については最もポピュラ-な道元の「愛語」の解読を行なった。禅的発想とは何かを少し理解出来た。 茶道と禅とのかかわりで、禅の影響という時は、道元の曹洞宗の禅ではなく、栄西の臨済宗の禅であることを区別しなければならないということを理解した。臨済宗は鎌倉幕府や室町幕府によって保護を受けた。その流れの中に利休に影響を与えた一休がいた。曹洞宗は庶民とのかかわりが大きく良寛も流れにいる。日本文化を臨済宗の鈴木大拙のように禅文化一般として解釈出来ないこと、さらに禅以外の宗教の影響も大きいことが分かった。自然と生活の関係に関する認識に仏教が大きく影響を与えていた。東北女子大学紀要29「愛語について」として発表。 利休の文化的背景を調べると、当時の人間の行動原理として、易(陰陽五行)や気学(四柱推命)が大いに利用されていることに気が付いた。吉野裕子氏の古代を中心とした民俗研究を近世の茶道にも適用することを試みた。その結果、茶の湯で使う黒楽茶碗と赤楽茶碗の関係が陰陽五行に当てはまり、黒以外の楽茶碗を赤と命名していることが分かった。赤楽茶碗はいわゆる赤色なので赤というのではなかったのであることを発見した。豊臣秀吉は黒楽茶碗が黒いので嫌いなのではなく、気学から彼の誕生日によって相性が悪いとされ彼にとって不吉だったために嫌ったのである。逆に赤は秀吉にとって好ましい色だったので金とともに茶の湯で使用したのである。これも東北女子大学紀要29に「茶の湯の道具について」として発表。
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