研究概要 |
競技スポ-ツ選手は、激しいトレ-ニングを主に思春期から成人に至るまで継続し、引退をむかえるが、引退後の競技スポ-ツ選手における運動量の激減・生活習慣の変化がその後の健康状態に及ぼす影響については、研究されていない。特に、亜性新生物が死亡原因の第1位となった現在、腫瘍阻止に働く細胞性免疫能と運動との関係を明かにすることは、体育分野の積極的に取り組むべき課題と考え、そのことを明かにすべく本実験を試みた。 ラットを、温水の入った水槽内で、1日1時間の水泳運動を5週間継続させた。その後、一部のラットをdetrainingさせ(DT群)、他のラットには同様の水泳運動を継続させた(TR群)。training開始前、detraining前、detraining1週間後、3週間後にラットを屠殺し、継時的に肺胞マクロファ-ジ、リンパ球、全血を採取し、マクロファ-ジ貧食能、PHAによるT細胞の幼若化反応、 ^<51>Cr放出法によるLAK活性の3つの細胞性免疫機能の指標、および血中HDLー,LDLー,VLDLーコレステロ-ル濃度の測定を行なった。また静注耐糖能の検査(IVGTT)も行った。 Tリンパ球幼若化反応、マクロファ-ジ貧食能、LAK細胞活性とも、TR群とDT群の間に有意な差は認められなかった。また、コレステロ-ル濃度においても、両群間に有意な差は認められなかった。 しかし、IVGTTにおいて、糖負荷15分後の血糖値は、detraining3週間後のDT群はTR群より有意に高く、耐糖能の低下が示唆された。 肺胞マクロファ-ジ貧食能、Tリンパ球幼若化反応、LAK細胞活性の細胞性免疫機能は、detrainingによる過渡的な応答は認められなかった。しかし、糖の代謝には変化が認められたことから、さらに長期にわたるdetrainingの影響について検討している。
|