研究概要 |
我が国の現代スポーツの原点,原型の再検討,その基本的特性及び構造に関する社会学的究明を本研究を目的とするものであるが,特に我が国のスポーツの「日本的特性」,その形成・変容のプロセスについて本年度は焦点をあて検討を試みた。 主要な検討の概要は、下記の通りである。 1.本年度は従来の分析枠組に加えて,バーンバウムの「創られた伝統」という視点を新たに加え,日本的スポーツの伝統の形成を近代化の過程と併せて考察を試み,従来のスポーツ論にはみられない指摘が可能になった。 2.相撲の現代化過程について,種々の考察を試みたが,特に「競技方法の変遷過程」及び「競技化・職業化過程」に分析は,現代の相撲の特質の究明に大きな成果が認められ,初期の形態の相撲とは構造的・機能的に著しい差異があることが示唆された。 3.柔道と剣道について,そのルールの変容,用具・文物の変容,そしてその理念の変容等についての考察を試みた。その結果、特に普及過程あるいは国際化過程におけるルール・制度の変容がその競技化・スポーツ化の過程に多大な影響を及ぼしていること,このため柔道と剣道においてはその現代的制度化過程に著しい差異が認められること,等々が明らかにされた。 尚、本年度の予定では上記のような「日本的スポーツ」の生成過程と諸外国のそれとの比較を試みる計画であったが,時間的理由により達成できなかった。 また上記の結果の一部については、1993年3月開催の第1回スポーツ社会学会シンポジウムにおいて発表した。
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