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1991 年度 実績報告書

受精卵の初期発生の分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 02808030
研究機関北里大学

研究代表者

大槻 健蔵  北里大学, 衛生学部, 助教授 (60124559)

研究分担者 大石 正道  北里大学, 衛生学部, 助手 (40233027)
キーワード卵プロテインキナ-ゼ / 特異リン酸化タンパク質 / 初期発生 / DNA合成開始調節 / がん抑制遺伝子産物
研究概要

I.カゼインキナ-ゼ(CKーII)特異リン酸化ポリペプチド(p98)
CKーIIは、末受精射より高塩濃度(1.5MKCl)で抽出される。この粗抽出液中のCKーIIは,DEAEーcellulose,Sephacryl S_<300>,HeparinーaffinityおよびMono Qカラムクロマトグラフィ-(HPLC)によって高純度に精製された。精製CKーIIによって特異的にリン酸化されるDNA結合性ポリペプチドを検索した結果,分子量98kDaのポリペプチド(p98)の存在が認められた。このp98は、CKーIIと複合体を形成しており,各種卵より1.5MKClで抽出された。Heparinーaffinityカラムの後,DNAーaffinityカラムクロマトグラフィ-によp98は,CKーIIから分離された。精製p98は,(1)α_2β_2のサブユニット構成をしていること,(2)ヒストンやプロタミンなどの塩基性ポリペプチド存在下でのみCKーIIによってリン酸化されること,(3)精子プロタミンが最も有効な活性化因子であること,(4)リン酸化p98はDNAから遊離し,DNA polymerase活性を著しく促進させることなどが明らかになった。これらの実験結果から,p98は受精直後精子プロタミンによって活性化されたCKーIIによって特異的にリン酸化されてDNA合成開始に重要な応割を演じるものと考えられた。
II.p98の活性調節
p98は,CKーIIおよび分子量約53kDaのポリペプチドと複合体を形成している。プロタミン存在下では,CKーIIはp98を特異的にリン酸化するのに対し,ヘパリン存在下ではp53のみをリン酸化する。あらかじめp53をリン酸させておくとp98のリン酸化が抑制される。またがん抑制遺伝子産物であるp53の特異抗体によってもp53のリン酸化が抑制される。これらの実験結果を総合すると,DNA開始調節はp98とp53がCKーIIのリン酸化を介して調節されていることを示唆している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kanekatsu M.,Dohke,K.& Ohtsuki K.: "Purification and characterization of three distinct protein kinase from marchantia polymorpha." Plant Cell Physiol.32(2). 159-168 (1991)

  • [文献書誌] Shamsa F.,Nagata N.OhーIshi,M.& Ohtsuki K.: "The in vitro effects of glycyrrhizin and the derivatives of glycyrrhetinic acid on the activity of cAMPーdepedent protein kinase from Ehrlich ascites tumor cells" Tohoku J.Exp.Med.165. 305-318 (1991)

  • [文献書誌] Ohtsuki K.,Matsumoto M.,Saito H.& Kato T.: "Characterization of casein kinase II and p89 as an effective phosphate acceptor for the kinase in the eggs of sea ruchin" J.Biochemistry. (1992)

  • [文献書誌] 松本 正浩,斉藤 準,大石 正道,大槻 健蔵: "ウニ未受精卵カゼインキナ-ゼII(CKーII)の酵素化学的特徴とその特異基質" 生化学(日本生化学会大会発表抄録集). 63(8). 749 (1991)

  • [文献書誌] 斉藤 準,大槻 健蔵: "カイコが初期発生過程で認められるカゼインキナ-ゼII(CKーII)とその特異リン酸化polypeptideについて" 日本昆虫学(第51回学会抄録集). 51. 72 (1991)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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