研究課題/領域番号 |
02808035
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
河野 通明 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (00027335)
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研究分担者 |
岡野 幸雄 岐阜大学, 医学部, 講師 (10177066)
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (80164747)
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キーワード | 細胞増殖因子 / GTP結合蛋白質 / Cキナ-ゼ / 受容体チロシンキナ-ゼ / ホスホリパ-ゼC / PI3キナ-ゼ / p21^<ras>ーGTPア-ゼ活性化蛋白質 |
研究概要 |
細胞増殖促進の情報伝達系は(I)受容体の持つチロシンキナ-ゼ活性を介するもの、(II)受容体がGTP結合蛋白質(G蛋白質)と共役して促進されるホスホリパ-ゼC(PLC)活性を介するもの(これはCキナ-ゼ活性化に連動する)、の2種類に大別され、PDGF、EGFなどは(I)の系でその情報を伝達すると考えられている。一方、我々は昨年度までの解析よりPDGF、EGFなどが上記(II)の系をもその作用発現に動員していることを明らかにしたが、これはチロシンリン酸化の促進とG蛋白質⇒PLC⇒Cキナ-ゼの活性化という上記2つの反応系の間に何らかの相関(Cross Talk)がある可能性を示唆する。そこで本年度はPLC活性化反応に関与するいずれかの蛋白質(PI3キナ-ゼ、G蛋白質、G蛋白質活性化因子、あるいはPLCそれ自身など)が受容体チロシンキナ-ゼによるリン酸化によってその活性を制御されている可能性について検討した。 まず増殖刺激した細胞中のチロシンリン酸化蛋白質を抗リン酸化チロシン抗体を用いたウエスタンブロット法によって解析した。各増殖因子によってチロシンリン酸化が促進される蛋白質はそれぞれに特徴的であり、EGF、PDGF刺激で共通にチロシンリン酸化の促進が認められる蛋白質は見当らなかった。EGF、PDGFはいずれもG蛋白質、Cキナ-ゼなどの機能に部分的にではあるが依存してその情報を伝達することは先に述べたが、この結果は上記2つの情報伝達反応系の間のCross Talkのメカニズムが増殖因子によって異なっている可能性を示唆した。次に、血小板から精製したPLCーγとA431細胞から部分精製したEGF受容体チロシンキナ-ゼを利用して試験管内でPLCーγのチロシン残基をリン酸化した。PLCーγ活性はチロシンリン酸化の促進によってほとんど変動せず、上記2つのシグナル伝達系の間のCross talkの実体をPLCのリン酸化によって説明することはできなかった。PI3キナ-ゼ、G蛋白質活性化因子などのチロシンリン酸化による機能の変動については現在検討中である。
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