研究概要 |
模擬宇宙環境作製用クライオスタットを用いて,地球環境由来の生物による宇宙環境汚染の可能性を検討した。 模擬宇宙環境は液体窒素による冷却(ー160℃)とタ-ボ分子ポンプによる真空(1×10^<ー6>torr),及び東京工業大学所有のバンデグラフ型加速器による陽子線照射(1MeV,0.05〜01μA,1〜200μク-ロン)を用いて行った。地球環境由来の生物として,ウィルス1種,細菌5種,放線菌,酵母,カビ,古細菌,嫌気性菌各1種づつ,それに南極昭和基地由来の藍藻3種などの模擬宇宙環境における生存実験をった。 その結果,低温真空環境下で太陽系内宇宙環境の250年分に担当する陽子線を短時間で照射したにもかかわらず,相当数の生物の生存が確認された。まず,タバコモザイクウィルスの82%を筆頭に,ブドウ球菌74%,枯草菌45%,カビの胞子25%,嫌気性菌の胞子25%,ミクロコッカス13%というように想像以上に高い生存率を示した。かかる結果より,本研究の目的である地球環境由来の生物による宇宙環境の汚染の危険性は充分に示唆されたものと考える。ただ,最終的には宇宙ステ-ションなどを用いた暴露実験を行って,本研究の実験結果を比較検討を行うことが必要である。尚,本研究の結果は以下に示した国際会議で発表を行った。J.KOIKE and T.OSHIMA:Planetary Quarantine in the Solar System,Survival rates of some terresterial organisms under simulated space condition by proton irradiationー,42nd Congress of the International Astronautical Federation(Oct.5ー11,1991,Montreal,CANADA)
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