研究概要 |
変異によりacetylcholinesterase阻害剤抵抗性遺伝子を同定し,次のような結果が得られた。 1.6遺伝子(uncー13,uncー11,uncー17,uncー41,uncー63,uncー64)はコリン作動性ニュ-ロン固有である可能性が高い。しかし,uncー18はコリン作動性以外のニュ-ロンでも働いている可能性がある。aceー3はacetylcholinesteraseの1つをコ-ドし,この遺伝子が欠如する本酵素阻害剤に対し高感受性となる。このことを利用し,6遺伝子との二重変異を作成し,阻害剤抵抗性を調べた。その結果,uncー18・aceー3は高感受性であったが、多くの二重変異は依然抵抗性であった。このことは,uncー18はaceー3よりacetylcholine局在に関して上流域に働くのに対し,uncー18はaceー3機能とは独立に働くと考えられた。 2.uncー18遺伝子産物の同定。uncー18遺伝子の完全なcDNAを得た。その塩基配列からアミノ酸配列を推定し,homology検索を行ったが,類似タンパクを見出すことができなかった。このことから,このタンパクは過去に知られていない新しいタンパクであると結論した。このタンパクは荷電アミノ酸に富む部位期が見られ,この部分とアセチルコリン蓄積との関連性を調べている。 3.免疫組織化学的検討。uncー18遺伝子産物に対する抗体を利用し,遺伝子がコ-ドするタンパクのニュ-ロンにおける局在を調べた。その結果,運動性ニュ-ロンの神経突起に局在していることが明らかになった。C.elegans運動性ニュ-ロンはコリン作動性であり,uncー18はコリン作動性に働いている可能性を示している。次に遺伝子産物合成が運動性ニュ-ロンで行われているか知る目的で,βーgalactosidaseをreporterとするexpression vectorにuncー18遺伝子を挿入しC.elegansにmicroinjectionしてその発現を見た。その結果,この遺伝子は運動ニュ-ロンに発現し,その軸索に分布していることが証明された。
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