研究概要 |
シナプス伝達の遺伝子制御機構を解明するため、コリン作動性ニューロン固有遺伝子を同定し、その生化学、遺伝子、並びに分子生物学的解析を行ってきた。そして次の成果を得ることができた。 I.unc-18遺伝子をクローニングし、ホモロジー検索から、この遺伝子産物がシナプス小胞の形質膜への融合に働いているタンパクと類似性を示すことを明らかにした。実際組織化学によって神経細胞突起に発現していることを明らかにした。 II.シナプス小胞分離法を確立し、同定した遺伝子変異のシナプス小胞での性状を検討した。その結果、シナプス伝達が不能のため終末に小胞の蓄積が見られるが、6遺伝子では伝達物質の蓄積は正常であるが、残り、1遺伝子では蓄積そのものに異常が見られた。 III.unc-41遺伝子を解析しシナプス伝達に関し2つの機能群からなる複合遺伝子でる結果を得た。 IV.アセチルコリン分解酵素をコードする3遺伝子ace-1.ace-2,ace-3の二重変異株を作成し、各遺伝子がコードする分解酵素の役割を調べた。その結果、ace-2がコードする酵素が神経機能に主要な役割をし残り2遺伝子がコードする酵素が補佐として働いていることを明らかにした。
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