研究概要 |
昨年度の研究は、ファジィ演算と推論によって引き出される学習結果を、メンバ-シップ関数で表現し,その形そのものに学習プロセスの重要な情報が含まれていることを明らかにした。このため今年度はこの学習結果の解釈に関することに重点をおいて研究を進めて来た。 一方において,人間が学生の理解度を評価したり,逆に学生が与えられた問題に対して感じる難しさや容易さは,まさに主観による観測や解釈でしかない。このことを深く思い続け、個人学習を積極的に取り入れた学習システムを創るには,その基本において,主観処理系の構築に関する基礎理論の確立が急務であるこの確信にいたった。その結果,今年度の後半は、この理論の確立とその処理系のプロットタイプを製作することにエネルギ-を注ぎ、理論の骨組と、未熟なシステムながら主観処理が出来るものをつくり上げた。この理論は,線形代数の固有値とアフィン空間を連結し、更にファジィ推論によるプロセッサとを連動したシステム合成論である。この理論の確立によって、昨年度までの研究して来たファジィ推論による学習システムは新たに今年度開発して来た主観処理系と合体出来て極めて興味ある学習システムになりそうである。 現在、この処理系をテスト中であるが、昨年までの単なる数値だけに基づいた学習から脱して,感情をも扱えるシステムになりつつある。詩を入力させることによって,どのような感情が生れるか、またその感情は人によって、繰返し読むことによって解釈が異なる(人間の感覚と同じような)出力(感情を表わす言葉)が出来るようになっている。 このように,今年度は飛躍的に研究が進展し、来年度は増々広がりのある良い研究にしていきたいと思っている。
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