ファジィ理論に基づく学習理論とそのシステム構築に関する研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02808057
• 研究機関: 九州工業大学
• 研究代表者: 矢鳴 虎夫 九州工業大学, 工学部電気工学科, 教授 (90039115)
• 研究分担者: 山川 烈 九州工業大学, 情報工学部制御システム工学部, 教授 (00005547) ; 内野 英治 九州工業大学, 情報工学部制御システム工学部, 助教授 (30168710) ; 廣田 豊彦 九州工業大学, 情報工学部知能情報工学科, 助教授 (00144402)
• キーワード: 主観 / モデル / ファジィ推論 / 感情 / 詩 / 学習

研究概要

昨年度の研究が、一昨年におけるファジィ推論による学習システムを、主観を取り込める処理系に仕上げることであった。昨年度の初めから考へて来た“主観々測モデル論"を基礎において、昨年度は、そのプロットタイプを作成した。今年度は、これを受けて、更に理論を一般論として発展させることと、処理系を更に充実させることを行った。つまり一般に言葉が、論理に焦点を置いた報告言語としての機能のほかに、その言葉を形成しているそれぞれの単語が、その文脈に応じた感情イメージを伴なうという性質を反映させた処理システムを実現させるべく研究を推進した。この研究によって、ファジィ推論だけを基本的方法論として初年度取り組みそれなりの特徴ある学習システムを実現してきたが、主観感情を折り込んだ学習システムが実現出来ることが確認された。とくに感情を伴なう言葉として代表的なものは詩である。そのため シミュレーション実験には、最近の若い詩人の詩を用いて、その詩を入力したとき模疑人間はどのような感情を喚起するかを系統的に研究し、ある程度その法則を見いだした。この結果は我々人間の持つ感情喚起の感覚に極めてよく似ていることが確認された。更に人間の感覚は環境によって 時によって、その人によって差があることは万人認めるところである。それでいて人間は共通の言葉又は単語で理解し会える。このような性質をモデルとして実現するために、感覚のイメージコードにゆうぎを導入した理論に拡張し、シミュレーション実験によって提示した。これらの一連の研究は国際会議や日本の学会,研究会で発表し高く評価された。これらの成果は、初年度に、3年後の終結として目標としていたファジ学習の普及とは少し異ったものになったが、あくまでファジー学習はその処理系の内部で機能していることには間違いない。詩を通しての情操教育システムの実現への可能性が出てきたことは意義深い。

研究成果

• [文献書誌] 矢鳴,廣田: "Basic theory for subjective observation model and its applications" Proc.of International Symposium on Fuzzy Systems. ISKIT'92. 5-8 (1992)
• [文献書誌] 矢鳴,廣田,木村: "An emotion processing system based on fuzzy inference and its subjective observations" Proc.of International Conference on Fuzzy Logic & Neural Networks. Iizuko'92. 103-106 (1992)
• [文献書誌] 矢鳴,廣田,白葉: "Construction theory for a subjective observation model based on offine mapping and its application to neural networks" Proc.of International Conference on Fuzzy Logic & Neural Networks. Iizuko'92. 111-114 (1992)
• [文献書誌] 矢鳴: "主観モデル論とその応用" 日本行動計量学会第20回大会発表論文抄録集. 第20回. 288-293 (1992)
• [文献書誌] 石坂,廣田,矢鳴: "単語がもつ感情的イメージのファジィ処理" 情報処理学会記号処理研究会. 66-4. 25-32 (1992)
• [文献書誌] 矢鳴,白濱: "動的感情イメージコードと主観々測モデル理論に基づいた感情表現" 第5回バイオメディカルファジィシステム研究会. 第5回. 123-132 (1993)