研究概要 |
本年度に行った研究内容は以下の通りである。 1.日本及び欧米諸国の優れた科学カリキュラムを調査し,その解析にグラフ理論を応用して行った。 (1)日本については,平成元年度の指導要領改計にともない低学年理科が廃止され,平成4年度から完全実施される生活科のカリキュラム研究が急務となっている。そこで,生活科の先導的実践における優れたカリキュラムを解析した。その結果,現在試行されている生活科からは1学年で7類型,2学年で9類型のものが見いだされた。また,カリキュラムのシ-クエンスを考えると生活科は3つの学習の流れが確認された。 (2)欧米諸国のカリキュラムではIPSとAAASの構造解析を行った。IPSは1960年代の科学カリキュラム現代化以降現在までに4回の改計を行い,いまなお根強い人気を得ている。構造解析の結果,IPSがその編集方針として変わらない基本構造を持っていること,20余年の歳月の中で時代の要請に答えて変化してきた構造上の変革点などが明らかになった。また,新指導要領が強調している問題解決能力とその育成の観点からAAASの解析を行った。その結果,このカリキュラムの中ではそれらの能力が巧みに配列され,意図的にこれらの能力を育成していこうとしている構造が浮き彫りとなった。 2.グラフ理論を応用してカリキュラム解析を行うために,C言語で記述されたパソコン用カリキュラム構造解析用プログラムを昨年度作成したが,さらに,今年度はこれにCS法を導入して辺の交差が少ない要素配列によるグラフ表示を可能としたプログラムに改良した。また,子どもの科学概念をグラフ表示するためガルスコフの言語連想分析法を用いたプログラムを開発した。
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