研究課題/領域番号 |
02F00039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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研究分担者 |
SERRA Milena 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 相対論的多体問題 / 相対論的平均場計算 / シグマ中間子 / 殻進化 / 交換項 / テンソル力 / スピンアイソスピン / デルタ中間子 |
研究概要 |
相対論的平均場理論に関して主に二つのテーマについて研究を進めた。一つは、相対論的平均場理論の構成要素の一つであるシグマ中間子の起源についての研究、もう一つは相対論的平均場理論における交換プロセス、即ち、フォック項についての研究である。前者については、現実的な核力にG行列理論の操作を施して、それをスピンやアイソスピンに依存した中心力ポテンシャルの形に表す。さらに、テンソル力の効果を繰り込みの方法によって処理し、その結果もスピンやアイソスピンに依存した中心力ポテンシャルの形に表す。その時に、核子間距離が1fmより大きいところでは偶ポテンシャルは引力になるが、そのテールの引き方が中間子交換ポテンシャルでよく表される事が分かった。その性質から、このポテンシャルは通常の現象論的な相対論的平均場理論で用いられているシグマ中間子の質量と結合定数によく対応している事が分かった。一方、上記のスピンやアイソスピンに依存した中心力ポテンシャルは、スピン一重項と三重項で少し強さが異なる。これはアイソスピン依存性につながる性質であるが、それを適切に取り込むためにあらたに、アイソスピンが1で、スカラーのデルタ中間子を導入した。さらにそれらの中間子の質量や結合定数が原子核の核子密度によってどのように変わるかも調べた。以上の全く新しい知見は論文にまとめられ投稿された。 2番目の主要なテーマはフォック項の導入であるが、最近、殻模型で研究されている「殻進化」を相対論的平均場理論で調べるには到達距離の長い相互作用が重要なので、中間子の有限質量を反映したフォック項を含んだ研究が必要である。それに必要な方法論的な研究や、計算コードの開発を進めた。系統的な数値計算に入るところまで来ている。
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