研究課題/領域番号 |
02F00059
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷部 信行 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授
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研究分担者 |
BEREZHNOI A. A. 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | 月探査機 / ガンマ線 / 中性子 / 揮発性元素 / 月極域の水 / 月の起源 / 分子過程 / 宇宙化学 |
研究概要 |
月探査機SELENEに搭載予定のガンマ線分光器GRSは、月探査の最重要装置の一つである。月極域での揮発性物質の存在量の推定、SELENE/GRSによる検出可能性を検討した。また、月表層の元素濃度を評価する上で重要な陽子照射実験、γ線生成と検出の大規模数値計算を実施した。 (1)月極域の揮発性物質 ルナプロスペクターの中性子分光により、月極域で水が高い確率で存在することが示された。そこで、H_2Oだけでなく、CO_2、SO_2、Sの存在可能性について検討した。それらの起源として、彗星、小惑星、太陽風と月との衝突を考慮した。衝突時のガス、大気滞留時間、物理・化学吸着率、また、蒸発や昇華の損失率、それらの温度依存性について取り扱い、極域の永久陰でコールドトラップされる揮発性物質の量を推定した。それらの物質がSELENEで検出できるかを数値シミュレーションを実施した。その結果、月極域に1wt%以上の水、0.5wt%以上の硫黄が存在すれば検出できることが判った。 (2)月表層のγ線発生の計算機シミュレーションと陽子照射実験 宇宙線陽子と月表面物質との核相互作用で発生するγ線を利用して月物質の主要元素、放射性元素や月極域の揮発性物質の存在度を、月探査機上で高精度で求めるために数値シミュレーションと陽子照射実験を実施した。鉄、アルミ、岩石に〜200MeV陽子を照射して、γ線のエネルギースペクトルを測定し、γ線・中性子の発生率、輸送過程を実験的に求めた。鉄やアルミの高強度のγ線については、ほぼ計算結果と一致したが、岩石中に含まれるMg、Ca等のγ線については計算値と一致しない点があった。計算に使用したGEANT4の衝突断面積のライブラリーが不十分である事が判った。 これらの結果は、天文学会(投稿中)、月惑星会議(Houston、2003.3)、EGU(Nice、2003.5)で発表予定。
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