研究概要 |
自由表面流のモデリングは,近年急速に活発化しつつある研究テーマである.今回の共同研究では,従来型の流体の数値モデルとは全く異なる発想から流れの支配方程式を離散化する「粒子法」に属する有力な2つのモデル,すなわちSPH(Smoothed particle hydrodynamics)とMPS(Moving particle Semi-implicit)法を用いて,海岸部で発生する砕波を対象としたシミュレーションを行い,2つのモデルの表現力を検討し,相互のモデルの改良に繋げることを目的とする.本研究は,従来型の計算法では理論的予測が不可能であった現象を予測できるモデルを開発するという開拓型のプロジェクトである. 本年度は,(1)一様勾配斜面上での砕波,(2)海岸構造物全面での砕波,を対象に申請者と外国人共同研究者が個々に開発してきたMPSとSHPのコードを適用し,結果を比較しつつ双方のモデルの特徴に関して詳細に議論した. これと平行して,また,外国人共同研究者は,申請者が開発した乱流モデルの着想取り込んで自らのSHPのコードを拡張した.このコードを用いて,カーテンウォール型浮防波堤を対象とした数値シミュレーションを実施し,水理実験と比較して適用性を確認した(得られた成果をAnnual Jour. of Hydraulic Eng.,Vol.47にて公表した).
|