研究概要 |
本研究では水溶液の中でも比較的低環境負荷なソフトな水溶液を利用し,これまでのクロメート法に替わるあらたな陽極酸化法開発を行う.Mg-Al合金のAl含有量を電位3Vで600s間陽極酸化処理した際、Alの含有量が増加するにしたがい、分極曲線は貴にシフトし、良好な耐食性が得られた.これは合金中に含有されるAl量が増加すると、Mg(α)相中に固溶されるAl量が増加するため、皮膜が強固に生成され耐食性に効果をおよぼしためと考えられる.Mg-Al合金試料を1M NaOH水溶液中に定電位で600s間陽極酸化した試料の耐食性試験を行ったところ,4Vで陽極酸化した試料の耐食性が最も良好であり,腐食電位は-850mVであった.8V〜80V間で陽極酸化したものは耐食性が良くなかった.そこでは4Vで600s間陽極酸化を行った試料を用い,封孔処理に供した.蒸留水の温度を変えて、1.8ks密封処理後の腐食電位は,353K,363K,373Kの時,それぞれ-820mV,-775mV,-720mVであり,温度が高いほどよい耐食性を示した.373Kの蒸留水中で封孔時間を変えたところ,処理時間が長いほど腐食電位は高くなり,3.6ksの処理時間では約-600mVを示した.処理時間600sの場合は100sの場合より平滑化し,クラックの数も少なくなった.このクラックは3.6ksではほとんどみられなくなった.またXRD分析結果,温度が高いほど処理時間が長いほどMg(OH)_2の生成量か増加した.EDXによって断面観察した時の酸素の分布は,4Vで陽極酸化した直後は試料表面から10-15μmの厚さであり,その膜には多いクラックが観察された.1MNaOH等のアルカリ水溶液中で1.8ks間封孔処理後にはクラックがなくなることが確認できた.
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