研究課題/領域番号 |
02F00163
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平尾 公彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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研究分担者 |
CIMPOESU Fanica 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 分子振動 / 振電効果 / Jahn-Teller効果と擬Jahn-Teller効果 / 有効ハミルトニアン / 無機立体化学 / π歪み / スピン結合 / Valence Bond |
研究概要 |
本年度の研究は、研究計画に従い、以下の点について遂行された。 ・振電相互作用定数のab initio計算プログラムのCoupled-perturbed Hartree-Fock法およびCoupled-perturbed generalized valence bond法プログラムとの組み合わせ。 ・新しい概念である「振電軌道」モデルを定義(定式と計算方法)。 ・無機立体化学で興味深い分子を上記モデルを用いてテスト計算。 ・混合結合系の振電計算。 ・振電相互作用のValence bond定式をMCSCF計算に対して定義する新しいモデルと応用計算およびHeisenberg-Dirac-van Vleck有効スピン結合ハミルトニアンへのフィッティング。 これらの結果は受理された2つの論文に掲載されている。 現在進行中の研究と準備中の論文は以下の方向に関するものである。 ・振電効果について従来存在しているモデルと計算方法に関する批判的再考。 ・振電パラダイムの小分子、有機金属クラスタ、平板銅錯体、混合結合系の典型系への包括的適用。 ・πサブシステムにおける擬Jahn-Teller効果による歪みをもつ分子の研究。ベンゼンとシクロブタジエンやシクロオクタトリエン、ナフタレンとペンタレンにおける芳香族性と反芳香族性の新しい評価法。重合系における結合Peierls歪みの新しいモデル化への進展。 ・時間依存密度汎関数法における振電モデルの導入。振電定数(原子核の位置に対する一次エネルギー導関数)と振電曲率によるFukui function、電気陰性度(占有数に対する一次エネルギー導関数)、化学的ハードネス(占有数に対する2次エネルギー導関数)に関する新しいフォーマリズム。 ・斜めに歪んだ四面体による系の構造特異性の計算モデリング。 ・歪んだ有機金属の環とクラスタの特異性。曲がった結合効果の新しい事例。 これらの研究については近々論文にする予定である。
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