研究課題/領域番号 |
02F00189
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授
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研究分担者 |
BHATTACHARYYA Rupa 広島大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | ヒ素 / ラテライト / 吸着 / 除去方法 / 水-岩石反応 / As(III) / As(V)比 / XANES法 / 分配係数 |
研究概要 |
バングラデシュ・インド西ベンガル地方では、地下水のヒ素汚染が顕在化しており、4000万人もの住民がヒ素に汚染した地下水を使用し、皮膚ガンなどを発症して大きな被害を受けている.このヒ素汚染の発生機構は、ヒ素を高濃度に含むパイライトを起源とするヒ素が、水酸化鉄(III)に吸着されて蓄積された後に、還元的な地下水中での鉄の還元・水酸化鉄の溶解することによると考えられ、天然での水-岩石反応が重要である.平成14年度は、インドベンガル地方のヒ素汚染に関する以下の研究を行った. (1)ラテライトを用いた地下水中のヒ素の除去に関する研究 このような広範なヒ素の汚染に対応するには、対象地域の経済状況が劣悪であることも考慮すると、安価で効率的な地下水中のヒ素の除去に関する研究を行う必要がある.我々は熱帯地域での風化土壌として広く存在するラテライトが酸化鉄を多量に含むことに着目し、この土壌への吸着現象を利用することにより地下水中のヒ素の効率的かつ安価な除去が可能であることがこれまでの研究から分かってきた.特に本年は、ヒ素のラテライトに対する吸着について、pH依存性、等温吸着線、カラムによる飽和吸着量の推定、更にはこの方法による経済的なコストの試算、などを通して、ラテライトによる地下水中のヒ素の除去が、バングラデシュ・インド西ベンガル地方などでのヒ素の除去方法として有効であることが推定された. (2)XANES法に基づく固相中のAs(III)/As(V)比の決定法の開発と土壌への応用 放射光を用いたXANES法をヒ素のK吸収端に応用し、その特徴から固相中のヒ素のAs(III)/As(V)比を決定する方法を確立した.これを水-土壌系でのヒ素の分配に対して応用し、液相側のAs(III)/As(V)比をHPLC-ICP-MS法で、固相側のAs(III)/As(V)比をXANES法で定量した.その結果、As(III)の方がAs(V)よりも液相側に分配されることが、固液両相の分析から明確に示された.
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