研究概要 |
多孔質内には熱伝導および粘性の強い散逸作用にもかかわらず,定常流,振動流,カオス,乱流と種種の流動様相があらわれる.熱流動系における不安定の発生,乱流への遷移におけるカオス挙動,乱流の解明と輸送現象への適用に関して,本年度は,実験的には,狭いギャップ内に円柱群を置いた流路内で構造体(円柱)スケールでの微視的挙動を,これまでに行っている温度および速度変動場の挙動解析に,圧力変動に関するカオス乱流挙動の計測および解析を付加した.多孔質内の熱流動においては,構造体を迂回する流れ(構造体スケールの擬似渦と呼ぶ)と構造体間の空隙スケールの渦(空隙渦)が基本的な役割を担い,擬似渦が主として熱分散(みかけの熱伝導率の上昇),空隙渦がForchheimer抵抗(速度の二乗に比例する流動抵抗)に寄与することなど,研究代表者による多孔質固有の乱れの生成・散逸機構理論モデルの実験的検討および研究分担者による流れの分岐と輸送現象への影響の検討,フラクタル概念の導入することにより,カオス乱流域の多孔質内非定常熱流動モデルの理論および実験的に検討を行い,カオスおよび乱れ強さの空間構造,多孔質固有の乱れの生成・散逸の機構,エントロピー生成の空間分布とどうかかわるか等について明らかにした.
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