初年度の計画は、1)これまでに受け入れ研究者と特別研究員でこれまでに共同して開発してきた光・プラズマモデルを誘導結合プラズマに適用すること、2)ICPプラズマの生成のための電源回路の構築、3)ICPプラズマの分光測定系の構築である。 プラズマモデルのICPプラズマへの適応については、アメリカのオスラム社(日本では三菱オスラム社)の開発したICP水銀蛍光ランプに関してモデリングを行った。このランプに関しては2001年の国際会議でプラズマパラメータと発光特性の計測結果が発表されており、我々の計算結果と比較検討した結果、定性的にはすべてのパラメータが一致するが、定量的には合わないものも多いことがわかった。この原因としては、ランプ内のプラズマを軸方向には一様と仮定したことと、径方向の電子密度分布をBessel関数と仮定したことによると考えられる。 そのため次年度はモデリングの対象としたICP蛍光ランプを調達して実際に電子密度や準安定原子密度の径方向分布を測定し、その結果をモデルにフィードバックすること、径方向の分布を考慮したモデルの構築を目指す。 またモデルについては既に定常計算だけでなく時間変化についてもモデリングできるようになっているため、実験に先立って、RFやVHFのパルス駆動の数値実験が可能な状態にある。その為、次年度には、第三年度に実験を予定しているパルス駆動放電に先駆けて、最適パラメータをシミュレーションにより予測することを計画している。 ICP回路の構築は既に済ませており、テスト用の放電管においてICP放電が可能であることを確認しているので、次年度は当初の計画どおり、封入ガスやアンテナの最適化を行う。 分光計測系についても既に構築を済ませており、次年度より、計画どおりにICPプラズマの光放射特性を測定できる状態にある。
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