研究概要 |
コンニャクグルコマンナンはアセチル基の存在により溶解性があるが、アルカリの添加によりアセチル基が除去されてゲル化すると考えられている。この仮説を検証し、ゲル化の機構を解明するため、アセチル基含量の異なるコンニャクグルコマンナン試料を調製することを検討した。これまで当研究室で検討した際には、コンニヤクグルコマンナン試料のアセチル化において、塩化亜鉛を触媒として反応させたため、分子鎖の切断が起こり低分子化してしまった(L.Huang et al, Biomacromolecules, 3, 1296-1303 (2002))。ゲル化に及ぼすアセチル基含量の影響を調べるためには、分子量を変えずに、アセチル基含量のみが異なる試料を調製する必要がある。今回、無水酢酸中で、別の方法によりアセチル化反応を行い、8通りのアセチル基含量の試料(アセチル化度が1.38%(元の試料)から10.15%まで)を得ることができた。アセチル基含量は鹸化と滴定による常法により定量した。カドキセンを溶媒として、これらの試料の固有粘度を測定したところ、アセチル化しない元の試料よりわずかに低下したものの、上記の既報における低下(283cm^3/gから200cm^3/gへ)よりははるかに少なく(557cm^3/gから480cm^3/gへ)、この反応によりあまり分子量を低下させずに、アセチル基含量のみが異なる試料を調製することができたと考えられる。しかし、さらに別の方法でより分子量低下の少ない方法も検討する予定である。また、今回得られた試料について、光散乱法により分子量およびその分布を測定する予定である。その後、これらの試料を用いて、アルカリの添加によるゲル化の機構解明のため粘弾性測定を行う。
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