数値計算のためのソフトウェアであるMatlabを購入し計算環境を整えた。そして我々の第一の研究目的である、定常シュレーデインガー方程式のコーシー問題に取り組んだ。詳しくは、池畠の提出した、大きなパラメタを含む解の公式の正則化の理諭的考察およびそれを踏まえた数値実醸を、Matlabを使い行った。 この公式の数値実験のためには、複素幾何光学解の数値計算が必要であるが、そのためのアルゴリズムを構成し実行した。そして、公式の理論的考察を基礎にして、その数値実験を、領域が半円の内部およびコーシーデータを与える境界の部分が半円弧である場合にたいして行った。 その結果、公式に含まれるパラメタがあまり大きくなくても、コーシーデータを与える境界の部分の近くにおいては、ある程度安定に解を再構成していることがわかった。 しかし、公式に含まれるパラメタを大きくしていくと、コーシーデータを与える境界の部分から遠く隔たっているところに大きな誤差がうまれ、やがてそれが拡大していくことを観察した。これに対し、注目する点、コーシーデータの精度および解の先見惰報を使うことによってうまくパラメタを選べば公式が安定化されることを理論的に証明したが、実際にうまいパラメタをどう取ればよいかについては、さらなる考察が必要である。
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