研究課題/領域番号 |
02F00784
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
粉川 博之 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授
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研究分担者 |
YANG Sen 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 粒界構造 / ステンレス鋼 / 粒界腐食 / 鋭敏化 / 加工熱処理 / 焼鈍双晶 / クロム炭化物 / クロム欠乏 |
研究概要 |
オーステナイト系材料は高温使用中に粒界腐食が問題となるが、材料中に低エネルギー粒界を効果的に導入することによって、粒界腐食し難い材料を作り出せる可能性があり、粒界工学とこの手法を呼ぶ。低エネルギー粒界の導入方法として、焼鈍双晶の利用が考えられる。そこで本研究では、オーステナイト系ステンレス鋼と高Ni合金をレーザ照射などによる表面加工熱処理法を用いて、材料中に低エネルギー粒界を数多く分散させることによって粒界構造分布を制御した材料を作製し、その耐食性と組織評価を行い、粒界工学による高耐腐食性材料の開発を目的とする。本年度は、SUS304型オーステナイト系ステンレス鋼をベースにして、粒界析出元素である炭素と、粒界偏析元素である硫黄と燐の量を変化させて、合金組成の異なるオーステナイト系ステンレス鋼を溶製し、通常の熱処理により母材を作製した後、粒界構造分布制御の最適化のための加工熱処理条件におよぼす化学組成の影響を調べた。その結果、化学組成の変化に応じて最適化制御のための加工熱処理条件は変化し、炭素量が最も大きな影響をもつことがわかった。すなわち、最適化加工熱処理条件は、炭素量が多いほど予加工量が増加し、温度が上昇した。硫黄や燐などの粒界偏析元素は粒界構造分布の最適化を多少困難にするものの、最適化された材料は粒界偏析元素濃度にかかわらず優れた耐粒界腐食性を示した。以上の結果から、オーステナイト系ステンレス鋼の化学組成に応じて適切な加工熱処理条件を選択することによって、耐粒界腐食性に優れた粒界構造分布制御材料が作製できることが明らかになった。
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