研究課題/領域番号 |
02F00794
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
田内 利明 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授
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研究分担者 |
DELERUE Nicolas 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | ファーストフィードバック / リニアコライダー / ナノメータビーム / ルミノシティー損失 |
研究概要 |
今年度のATFでのビームテストでは、先ず、設計・制作したキッカーの性能試験を行った。今回の実験では、システムの制御用のエレクトロニクスは市販品(高周波分配・結合器、プログラマブル減衰器、キッカー入力用増幅器など)を購入し組み上げることとした。本キッカーでは、上下2つストリップ電極に高周波パルスを印加し、その電磁力によりビーム軌道を垂直に偏向させる。その長さが40cmのため、上下流端から2つの入力の仕方がある。それぞれの入力方向ごとに電極間距離を1.4mm変えて偏向強度を測定した。電磁波伝搬から予想されるように下流入力のほうが高い強度であり、明確に磁気力を確認したが、上流入力で前者の半分程度の強度が測定された。このときの入パルスのバンド幅は50.100KHzであった。また、ストリップ電極のゆがみのため、電極間距離の最小値は1.12mm(設定値)であった。インピーダンスの測定値は、電極間距離1mm近辺で50Ωである。続いて、BPMのビームによる較正を行っている。BPMに誘起される電極は数10ピコ秒というひじょうに高速シグナルであるため、現在のところビーム位置モニターとしての較正は終了していない。それと平行してキッカーの基本的な動作試験をBPM疑似パルスを使用して行った。これは、シグナルダウンミキシングによる"DC"成分を増幅する方式とは異なったBPMの位置シグナルを直接用いるもので、より高速のフィードバックが達成できるものである。しかしながら、高速で十分なバンド幅をもつ増幅そしてタイミング調整等などが必要となる。このビームテストではシグナルの増幅がまだ不十分のため、400回ほどの測定の平均が必要であったが、基本的な性能を確認した。
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