研究概要 |
次世代の不揮発性メモリとして期待されているシリコン量子ドットを用いたメモリの性能を飛躍的に向上させることを目的に,シリコン量子ドットの形成メカニズムを詳細に調べ,サイズが均一なナノスケールシリコンドットを制御性よく形成するために研究を進めている.本メモリデバイスでは,ゲート電極に電圧を印加するとシリコン量子ドットに電子が注入され,シリコンドットがメモリの記憶ノードとして働く.従って,シリコン量子ドットの制御は極めて重要である.本年度は,減圧化学気相成長法により直径約10nmのシリコン量子ドットを酸化膜上に実際に形成し,その形状,密度,サイズ等を原子間力顕微鏡により詳細に評価した.減圧化学気相成長法の条件(温度,時間,ガス流量,圧力等)をさまざまに変化させるとともに,シリコン基板上に形成した酸化膜の処理方法も各種試した.その結果,平均直径10nm程度のシリコン量子ドットが高い密度で形成されていること,ドット形成前に酸化膜を弗酸処理するとドット密度が大幅に増大することなどが明らかとなったが,同時にサイズばらつきがまだ極めて大きいことがわかった.弗酸処理でばらつきが多少抑制されることから,シリコンドット形成のメカニズムを詳細に把握するとともに,ばらつき抑制のための指針を検討した.これらの結果をもとに均一なサイズをもつシリコンドットメモリを作製し,メモリ動作の向上を狙うとともに,均一なドット中で起こるクーロンブロッケードを利用してドット中の電子数の制御およびメモリ特性のばらつき抑制の研究を進めていく予定である.
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