試験管内で長期間保存された植物器官から復元したクローン植物の植物学的評価のみならず、含有有効成分の母植物との定性的・定量的同一性に関する生化学的評価を行うことにより、薬用植物遺伝子源の試験管内保存法の信頼性と汎用性を実証することを目的として研究を行い、本年度は次の結果を得た。 双子葉植物ナス科のチョウセンアサガオ属植物および単子葉植物イネ科のレモングラスなどの無菌シュートの増殖条件を改良して冷蔵保存を開始した。また、冷蔵保存終了後にシュートを効率よく発根させる条件や試験管内からポットに出して馴化させる方法についても検討し、培養系から再生植物を育成する系を確立するための実験を行い、改良点を見いだした。 植物学分野の研究に携わってきた本外個人特別研究員に植物成分の分析に関する技能を修得してもらうために、上記の植物および本研究室で冷蔵保存実験を継続してきた植物材料について、ガスクロマトグラフ法や高速液体クロマトグラフ法による分析を実施した。すなわち、チョウセンアサガオ属植物およびハシリドコロのトロパンアルカロイド、オケラ属植物の精油のガスクロマトグラフによる分析、キケマン属植物のテトラヒドロプロトベルベリン系アルカロイドの高速液体クロマトグラフ法による分析である。
|