本研究では強磁性微粒子の電気伝導等の基本特性を評価することを目的としている。そこで、本年度は数個からなる強磁性微粒子の伝導パスを形成し、これらの電気伝導測定とTEMによるその場観察を行った。 1.数個からなる強磁性微粒子の伝導パスの形成 まず、Au探針にFe-SrF_2グラニュラー膜を数十nm蒸着した。Fe粒子サイズは約3nmであった。このAu/Fe-SrF_2針の先端に、昨年度自作したTEMホールダを用い、別のAu探針の先端をピエゾ素子により接触させ、電気伝導測定を行った。これにより膜厚、接触場所・面積等の条件を変えることで、伝導に関係するFe微粒子の数を制御することができた。 2.伝導測定とその場観察 電気伝導測定の結果、接触面積が700nm^2のとき、しきい値電圧0.4Vのクーロンブロッケイドが観測できた。このときのFe微粒子の数は10個程度である。また、膜厚10nmのグラニュラー膜を用いた実験では個々の粒子を識別することができ、単一粒子の伝導測定も可能である。このことを物理学会及びE-MRS 2004 Spring Meetingで口頭発表する予定である。 また、このTEMホールダを用いTEM電子ビームの揺らぎを検知することが可能であることがわかった。
|