RBPJをノックアウトするとE9-E10で胎生致死となるため神経発生後期のNotch/RBP-Jシグナルの解析は不可能であった。そのため当研究室で作製されたCre/loxP systemを利用したRBP-J conditional knockout miceを用い神経系におけるRBP-Jの機能解析を行なっている。Creを前脳領域に導入するためin vivo electroporationを用いた。E14においてin vivo electroporationによって遺伝子導入される細胞は生後layer II/IIIの錐体細胞になるが、RBP-Jが欠損するとlayer II/IIIの錐体細胞がlayer IVの非錐体細胞へと変化することがわかった。大脳皮質層構造は種々の細胞の運命決定とそれに相関した細胞の誕生のタイミングに基づいて形成される。我々の知見は、Notch/RBP-Jシグナルが細胞の誕生時期を調節することによって大脳皮質における層特異的な細胞種の運命決定を行なっていることを示唆している。
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