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2002 年度 実績報告書

スペクトル進化モデルを介した銀河の星形成史解明

研究課題

研究課題/領域番号 02J01330
研究機関京都大学

研究代表者

井上 昭雄  京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード銀河進化 / ダスト減光 / 星形成 / 銀河間空間 / 光電効果 / ダスト物理 / 赤外線 / スペクトル
研究概要

本研究は銀河のスペクトル進化モデルを用いて、銀河の星形成史を解明することを目指している。特に、星間ダスト減光をこれまでになく詳しく取り扱う点が特色である。今年度は、当初の計画通り、銀河のスペクトル進化モデルの構築に多くの時間が費やされた。まず、銀河の化学進化モデルを構成した。ついで、ダストの形成、成長、破壊過程を考慮したダスト量進化モデルを、化学進化モデルを拡張することで構築した。ところで、実際の銀河には爆発的な星形成活動を見せるものもある。このような現象をスターバーストと呼ぶが、今回構築したモデルは、このスターバースト的な星形成史も取り扱える点が特色である。このモデルにより、銀河の金属量とダスト量の観測的な分散の起源のひとつとして、スターバースト現象が有力であることが新しくわかった。この成果は、2003年春季天文学会で発表され、現在、論文出版を準備中である。また、種族合成モデルと組み合わせることで、銀河のスペクトル進化モデルも完成しつつある。これらの初期成果は、昨夏、東京で開催されたIAUアジア-太平洋地域会議で発表された。
さて、星間空間でのダスト物理の素過程からモデル化することが本研究にとって重要である。そこで、ダストの素過程を詳しく調べた。結果、銀河間空間ではダストの光電効果が極めて重要であるという興味深い知見が得られた。銀河間空間は、一般に、ごく低密度でかつ大量の紫外線に満たされている。このような環境でのガスの加熱源として、ダストの光電効果が非常に重要となるのである。これを利用して、これまでまったく不明であった銀河間空間のダスト量に有意な上限をつけることができた。つまり、ダスト量が多すぎると光電加熱が効きすぎて、ガスの温度が高くなりすぎ、銀河間空間の温度の観測値に矛盾するのである。この成果はすでに論文としてまとめられ、学術雑誌に掲載が決定している(印刷中)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 井上昭雄: "Constraint on intergalactic dust from thermal history of intergalactic medium"Monthly Notices of the Royal Astronomical Society. (印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 井上昭雄: "Star Formation Rate from Infrared Luminosity and Galaxy Evolution"The Proceedings of the IAU 8th Asian-Pacific Regional Meeting. II. 257-258 (2002)

  • [文献書誌] Buat, Veronique et al.: "The UV(GALEX) and FIR(ASTRO-F) All Sky Surveys : the Measure of the Dust Extinction in the Local Universe"The Proceedings of the IAU 8th Asian-Pacific Regional Meeting. II. 65-66 (2002)

  • [文献書誌] 高橋労太: "Microlensing Analysis of Structure in high-z Galaxies"The Proceedings of the IAU 8th Asian-Pacific Regional Meeting. II. 485-486 (2002)

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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