研究概要 |
高次元時空の中に存在する4次元の膜に重力やゲージ場、物質場が局在して,我々の世界を構成しているとするブレーンワールドシナリオの研究を、余剰次元が1次元、つまり5次元中に浮かぶ4次元の膜について研究をした。 最初の論文では、土台となる5次元の超重力理論において、それまで知られていなかったtensor multipletのoff-shell形式を構成し、5次元の理論を補完した。 4次元の膜を余剰次元方向に厚みをもちダイナミカルなオブジェクトとして扱い、それらの効果をブレーンワールドシナリオに取り入れるため、domain wallの詳しく理解する必要がある。二番目の論文では、超対称QEDの理論にFayet-Ilipoulos項を加え、物質場に質量項を加えることによって複数の離散的な真空をつくり、これら真空をつなぐBPSオブジェクトとしてdomain wallを構成した。特にあるいくつかの特殊なゲージ結合定数の値に対して、wallの厳密解を構成しそれらの性質を調べた。これらのdomain wall上に局在化する場の揺らぎについても調べ、wallの存在によって破れた対称性に対するNambu-Goldstoneモードのすべてが一つのsuper multipletとして局所化することを示した。 このように一般には物質場を局在化するモデルを造ることは比較的容易にできる。しかし、今までゲージ場をwall上に局在化させる方法が知られていなかった。三番目の論文では、domain wallを構成したシステムにtenor multipletの運動項を付け加えたシステムを考えることによって、tensor場の運動方程式の解として、wall上に局在化するゲージ場を生成することに成功した。
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