研究概要 |
私はP^1-{0,1,00}のP進クリスタリン基本群を徹底的に追求してこの分野に新たな世界を切り開いた。まず最初にP進多重ゼータ値とP進多重ポリログという概念を導入した。これらはC-caseの多重ゼータ値と多重ポリログのP進類似として導入したわけだが既にこの定義を与えること自身決して簡単なことでなく困難な問題点を含んでいる。私はCalemanのP進反復積分論を用いることによりこの困難を乗り越えて構成を与えた。そして私のP進多重ゼータ値とP進多重ポリログはC-caseの多重ゼータ値と多重ポリログと同様の性質を持つことを示したばかりでなく、P進の世界ならではの特有の性質を有することも示した。例えばP進多重ゼータ値のbranch independencyという極めてshockingな私の結果はまさにP進特有の性質といえよう。次に私はP進K2方程式という概念を導入してこの特殊解にP進多重ポリログが現れることを示した。そしてP進K2方程式のある2つの特殊解の構成法を与えてこの2解からP進Drinfel'd associatorという級数を導入してこの各係数にはP進多重ゼータ値が現れることも示した。私がP進K2方程式に対して行った考察からP進の世界に様々な結果をもたらすことができた。例えばP進多重ポリログの函数等式はその一つであるし他にもP進多重ゼータ値のシャッフル積和公式やP進多重ポリログの特異点の近傍での振る舞いに関する結果などもあり数え上げたらきりがないくらいある。その後に、私は淡中圏論を用いてP進K2方程式に解釈を与えていきP進Drinfel'd associatorが実はP進rigid fundamental π^<P.rig>_1(P^1_<FFp>-{0,1,00}:0.1)(Qp)におけるVologodsky-BesserのP進クリスタリンフロベニウス不変パスから由来していることを明らかにした.私の研究によりP進多重ゼータ値の世界と基本群のP進クリスタリンの世界とのつながりが鮮明になりP進クリスタリン基本群の研究に全く新しい分野を展開することができた。
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