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2002 年度 実績報告書

メタンモノオキシゲナーゼの炭化水素直接酸化機構の解明〜メタン酸化触媒を目指して〜

研究課題

研究課題/領域番号 02J01624
研究機関京都大学

研究代表者

湯村 尚史  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード密度汎関数 / C-H結合活性化 / メタンモノオキシゲナーゼ / 軌道相互作用 / 遷移状態理論 / 速度論的同位体効果
研究概要

メタンをはじめとする飽和炭化水素は強固なC-H結合を有し、化学修飾の困難な物質群であることが知られている。このメタンのC-H結合を効率よく活性化する生体内酵素としてメタンモノオキシゲナーゼが知られている。この酵素は、常温常圧という温和な条件化でメタンをメタノールに転換するという驚異的な触媒機構を有するため、その反応機構には大変興味が持たれている。しかしメタンモノオキシゲナーゼによるメタンのC-H結合活性化機構に関しては、その活性中心の配位環境すら未だ明らかではない。そこで本研究は、メタンモノオキシゲナーゼによるメタン-メタノール転換反応の機構を量子化学的手法を用いて解明することを目的とする。ここで、メタンモノオキシゲナーゼの活性種として配位環境の不飽和な鉄-オキソ種を含むダイヤモンド構造を仮定し、メタン-メタノール転換反応が、メチル基とヒドロキシル基が鉄イオンに配位したヒドロキソ中間体を経る二段階協奏機構で進行することを見い出している。さらに、実験から得られた磁性状態を合理的に記述する開殻一重項状態では、メタンの水素原子が直接オキソ種に引き抜かれメチルラジカルを生成するのではなく、メタンと鉄の相互作用により、一種の分子内転位のような形で水素原子が引き抜かれることを明らかにしている。
上記研究の主な成果は、メタンモノオキシゲナーゼのメタン-メタノール転換反応が、今までに信じられてきたラジカル・リバウンド機構とは異り、二段階協奏機構で進行しうるということを新たに提案したことにある。これらの定量的解析は、単にメタンモノオキシゲナーゼの反応機構を解明するに留まらず、メタンをはじめとする不活性な飽和炭化水素の直接酸化を行う高性能触媒を構築するうえで重要な示唆を与えるものと考えられる。これらの結果をまとめた論文については既に投稿済みである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Takashi Yumura: "Mechanism for the Formaldehyde to Formic Acid and the Formic Acid to Carbon dioxide Conversions Mediated by an Iron-Oxo Species"The Journal of Physical Chemistry A. 106・4. 621-630 (2002)

  • [文献書誌] Takashi Yumura: "Second-Order Perturbational analysis of the Interaction Between Graphite Sheets"Chemical Physics. 279・2-3. 111-131 (2002)

  • [文献書誌] Kazunari Yoshizawa: "A Non-Radical Mechanism for Methane Hydroxylation at the Diiron Active Site of Soluble Methane Monooxygenase"Chemistry-A European Journal. (印刷中).

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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