非熱的超新星残骸侯補であるAXJ1843.8-3946を、空間分解能の非常に優れたChandra衛星で追観測した結果、この天体が真に広がった放射を示すことを発見した。さらに、熱的成分を空間分離することに成功し、その他の部分の放射が非熱的でなければいけない厳しい制限を付けた。これは、非熱的X線が卓越する殻型超新星残骸としては4番目の発見となる。この結果はThe Astrophysical Journalに投稿し、受理されている。 さらに、我々はこれまでに知られている超新星残骸も非熱的X線放射を起こしているのではないかと考えている。良く知られたW28という超新星残骸を集光能力の高いXMM衛星で観測した結果、非熱的X線放射の兆候を捉えた。この超新星残骸は古く、周りの物質密度の高い所に存在するという点で、これまでに非熱的X線放射の発見されている超新星残骸と異なっており、超新星残骸における非熱的現象はさまざまな条作下で起こっていることを示唆している。 私は次期検出器の開発を同時に行なっている。高い位置分解能のガス検出器μ-PICの安定性および感度の向上に成功し、X線偏光の測定に成功した。結果をEGS4を用いたシミュレーションと比較したところ、両者から得られるX線偏光測定能力はガス依存性、X線エネルギー依存性の面で良く一致していた。このことは、μ-PICを開発する上でシミュレーションに信頼を置けることを示している。よって、我々はシミュレーションに基づいて、最適な検出器のサイズ、ガスの種類、ガス圧などを決定し、今後ピクセル化などの開発を行なってゆく。
|