研究概要 |
(1)水溶性ロジウム錯体を用いた水-有機二相系でのアルキンの環化三量化反応 水溶性リン配位子とロジウム錯体から調製した水溶性ロジウム錯体を触媒として、水-ジエチルエーテル二相系で4,9-ジオキサ-1,6,11-トリインを反応させるとアルキンの分子内環化三量化体が高収率で得られることを見いだした。基質として用いるトリインのメチレン鎖を延長することによって中・大員環化合物の合成にも成功した。この反応を有機溶媒中で行うと分子間反応やポリマー化が進行するため水-有機二相系のような結果は得られない。 また、一般の有機溶媒中ではジプロパルギルエーテルとプロパルギルアルコールを反応させるとジプロパルギルエーテル同士のホモカップリング体の生成のため両者の分子間環化反応は効率良く進行しない。しかし、水-有機二相系では高収率でジプロパルギルエーテルとプロパルギルアルコールの分子間環化三量化体が得られることが分かった。 これらは、有機基質の水への溶解性の違い、つまり水の特徴を上手く利用した例と言える。 (2)アニオン性ミセル系でのロジウム錯体を用いた[4+2]環化反応 [RhCl(nbd)]_2とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を水中で撹拌すると活性なロジウム錯体が調製できることを見いだした。この錯体を触媒として分子内[4+2]環化反応を行うと高収率で目的生成物が得られることが分かった。従来、カチオン性ロジウム錯体は塩化ロジウム錯体に高価な銀塩を作用させて調製していたが、水中では水和により簡便にカチオン性ロジウム錯体が生成することが明らかとなった。
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