中世ノヴゴロドの対ハンザ交易が確立された十三世紀を中心に、バルト海-ロシア間の中継交易の独占を目指したノヴゴロドの動向に注目して、ノヴゴロドの対ハンザ通商政策を考察することが研究の目的である。今年度は、当初の予定では度量衡権に関する分析を行うつもりであったが、それを変更して、ノヴゴロド領内での商品輸送に関する研究を行った。 ノヴゴロドの商館を往来するハンザ商人の商品は、ノヴゴロド領内ではノヴゴロド人が運搬していたが、十三世紀にはノヴゴロドが独占に成功している。今年度の研究ではこの商品輸送を行っていた人々の労働条件の整備をノヴゴロドがいかにして実現していったのかを検討した。 中間報告として、6月28日に日本ハンザ史研究会において口頭報告を行った。また、それをもとにして、『比較都市史研究』第23巻第1号(2004年6月予定)に「中世ハンザ交易における領内輸送」を投稿中である。
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