研究概要 |
イヌバベシアギブソニー原虫感染症に対するワクチン開発にあたり、年次計画に基づき以下の研究を行った。 1)P30,P50遺伝子発現蛋白を認識するモノクローナル抗体(MAb)の作製 抗P30,P50蛋白MAbの作製を行った。P30蛋白に対しては4種類、P50蛋白に対しては5種類のMAbを作製した。これらのMAbを用いてP50蛋白の抗原性の解析を行った。その結果、190から273アミノ基の領域が抗原エピトープとして非常に重要であることを示唆した(投稿中)。 2)ウイルスベクターへの導入遺伝子の選定 以前の研究により同定された本原虫P50遺伝子をバキュウロウイルス発現系にて組換え蛋白として発現した。この組換えP50蛋白をウサギに免疫、抗血清を作成し、イヌ赤血球置換SCIDマウス感染モデルを用いて、得られた抗血清の本原虫増殖に対する効果を評価した。その結果、抗血清はin vivoにおいて本原虫に対して優れた増殖抑制効果を示し、P50蛋白はワクチン候補分子として非常に有用であることが示唆された(投稿準備中)。またP50蛋白の性状解析を行ない、その結果P50蛋白はI型膜貫通蛋白として原虫細胞表面に発現していることを明らかにした(投稿中)。さらに、抗P50抗体の原虫増殖抑制効果の分子機構を解析するため(1)で作製したP50蛋白に対するMAbを用いて、本原虫増殖抑制に対する分子機構を解析中である。 また、新たなワクチン候補分子の探索を行った。その結果、非常に高い抗原性を示す蛋白をコードするP130遺伝子を同定、性状解析を行った(投稿準備中)。現在、この蛋白のワクチン候補分子としての有用性を検討中である。 今後これらの結果をもとに、ワクチン候補遺伝子を導入した組み換えウイルスを作製、イヌに免疫し本原虫感染に対する防御効果を評価する予定である。
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