研究概要 |
銀河面上の3つの低質量X線連星系をアメリカのX線天文衛星チャンドラで分光観測したデータを解析した。これらの天体からのX線は銀河面上の濃い星間物質の吸収を受けているため、強い吸収線が観測された。その吸収線の深さやエネルギーから、ケイ素等の元素の組成比が求められ,またガスやダストなど、どのような相で存在しているかについての示唆も得られた。我々の銀河系の中心方向は元素組成比さえまだ明確にわかっていなかったが、その分野での大きな前進となる研究である。これにより過去の超新星爆発レートなど銀河系中心領域での活動性に関しても知見が得られる。このような高エネルギー分解能の観測は、2005年打ち上げ予定のX線天文衛星Astro-E2でも行なわれる予定であり、その参考ともなった。 銀河系中心領域の分子雲からのX線に関しては、INTEGRAL衛星による高エネルギーX線の検出・多くのジェット状構造の発見などにより中心核ブラックホールの過去の活動がより確実なものとなった。今後この研究を発展させるため、チャンドラ、ニュートン、Astro-E2といった現在活躍中の主な3つのX線衛星に観測を提案し、了承された。 Astro-E2衛星に関しては、CCD検出器XISについて機能試験・性能試験に参加し、充分な性能が得られていることを確認した。また、打ち上げ後のデータ解析用ソフトウェアの開発や、較正用X線源の評価・製作も行うとともに、試験の手順や、衛星打ち上げ後のコマンド作成などにも携わった。また、機上バックグラウンドの評価のため地上での模擬実験を行ない、モンテカルロシミュレーションとの比較・検証を行なった。
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