研究概要 |
まず前年度の2本の論文が受理されるにあたり加筆修正した。そのうちの1本については大規模な加筆修正であった。また、特別研究員採用前に分担執筆に加わった教科書の重版に伴い、1ページ弱の加筆を行った。 昨年に引き続きコネクショニストモデルのいわゆるcatastrophic interferenceに関し数値実験を行った。干渉の度合いはモデルの規模に関し不変であるか考察した。意外なことに小規模なモデルほど干渉が大きいことが示された。Ratcliffなどによる初期の重要な研究ではまさに極めて小規模なモデルが使用されており、従来の研究の再解釈が必要であることが示された。論文はNeuroreport誌に受理された。 Rescorla-Wagnerモデルに関し重要な貢献を行った。実験状況によっては拘束条件による解が無限に存在し(underdetermined)、一意に定まらない。線形代数の立場から言うと逆行列が存在しない状況に当たる。しかしモデルに初期値を与えると解が一意に選ばれるのであるから、どの解が選ばれるかを求めることが必要である。従来は数値実験で対処された。(Yamaguch,1999はこれを数式処理ソフトに解かせ業界を驚かせた。コンピュータソフトに任せたと言う点では不満も残った)。しかし新たな拘束条件を従来のものに加えることにより一意の解を求めることに成功した。紙と鉛筆のみが使われた。使われた数学は中学レベルの算術で、大問題を解くことが出来た。輪文は現在審査中である。
|