研究課題
2004年度は2つの課題を設定して研究活動に取り組んだ。1.ホノルルとロサンゼルスの日系人の比較分析2002年9月のホノルルでの聞き取り調査からは、ハワイの日系人のアイデンティティ構成が多元的であることが把握された。2003年10月にはロサンゼルスで同様の聞き取り調査を行い、ハワイと西海岸での日系人を取り巻く社会的力の相違を把握した。2004年度にはこれらの作業の成果を論文にまとめ、「日系合衆国民のアメリカンアイデンティティ--西海岸とハワイの場合」として発表した。また8月にホノルルで開催されたJACL(全米日系市民協会)の大会に参加し、そこでの取材データを元に、アメリカの日系人が掲げる多文化主義が民主主義の実現と国民主義の強化のどちらにより強く帰結していくのかについて分析を行った。2.グローバル化と教育の多文化化の関連についての検討多文化社会に生きる現在の日系アメリカ人が、どのような教育経験を積んできたのかを理解するために、アメリカの歴史教育内容の変化を検討した。これによって、社会がグローバル化していくにつれ、『アメリカ国民」「日系人」に関する教育内容が変化してきたことを把握した。さらにその知見を日本の歴史教育内容の特徴と比較検討し、グローバル化と教育の多文化化の関連について検討した。その成果は、4月にスウェーデンのヨーテボリ大学で開催されたNAJS(北欧現代日本社会研究会)の第1回大会(日本学術振興会ストックホルムセンター後援)で報告し、論文「A Globalized Sense of Rational Style of Historiographical Narration of Modernity : History Textbooks of Japan and the United States, and the Narration of History in the Age of Globalization」として発表した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
ソシオロジ(社会学研究会) 150号
ページ: 3-19
Waseda Conference of ‘Modernity' Collected Works on Cultural and Sociological Conceptualization of ‘Rationality' (Shuichi Wada ed., Department of Sociology, Waseda University)
ページ: 41-53